2022年4月11日にオンライン開催された『BNIナショナルカンファレンス 特別セッション』では、激動の時代においてどのように中小企業が生き抜き、社会貢献していくのか、をテーマに3名のパネリストによるディスカッションが行われた。
パネリスト1人目は、青木仁志氏。アチーブメント株式会社代表取締役会長兼社長、アチーブメントグループCEO。
2人目は、野並晃氏。株式会社崎陽軒専務取締役、公益社団法人日本青年会議所2021年会頭。
3人目は、大野真徳。BNIジャパン代表。
示唆に富んだ1時間のディスカッションをダイジェスト版としてレポート。
日本の中小企業の課題
コロナ禍となった2年間で、中小企業の二極化が起きていると話す野並氏は、中小企業の課題について次のように語った。
「観光などの業界と結びつきの強い企業が大きなダメージを受けたことは事実です。しかし、経営が悪化した企業ばかりではなく、多くのメリットを受けた企業もあります。違いは、社会の流れに合わせられたかどうかだと感じています。どのような社会環境の中にあっても、自分たちの企業が社会環境の変化に合わせてチャレンジしていく、これを恐れずにしていくことが必要と思います」
次に、44万名以上の⼈材育成と5,000名を超える経営者教育に従事してきた青木氏は、このように説いた。
「ひと言でいうのであれば、経営者次第だと思います。弊社で多くの方々が継続学習をされていますが、継続学習をしている方たちはブレません。自分の経営の目的を明確にして、自分の理想の経営をどう目指していくのか。そこにしっかりとした意図があるので、環境に適応しながら最大最善の努力をしています。コロナ禍においてもネガティヴにならず、“逆境は幸せの前奏曲”くらいの心構えをもって取り組んでいる企業は、しっかりと舵取りをしながら業績を伸ばしています」
大野は、「多くの経営者のみなさんは、限られた時間の中でどのように企業を革新させていくかを経験できた、ある意味ポジティブに捉えることが可能だった期間といえるのではないでしょうか。今後、ますます先行きの見通しが難しい中で成長を持続させていくには、常に革新のサイクルを回し続けることが経営の大切な戦略になっていくと思います」と話した。
経営者の資質や心構えとは
経営者に求められる5つの実務能力「判断力」「人材採用・育成力」「営業・マーケティング力」「財務管理能力」「商品力・技術力」の中で、最も重要な資質を「判断力」と青木氏は断言。そして、「経営者の真価が問われるのは逆境のときであり、不退転の決意を持って取り組まねばならない」と前置きした上で、経営者に必要な姿勢について熱を込めながら次のように続けた。
「一番大事なことは理念です。すなわち、この企業は誰のために、なんのために、なぜ存在するのか。5年後、10年後、いや、50年後、100年後、どのようにこの企業は成長し、発展していくのか。これをしっかりとデザインをすること。そして、強いリーダーシップで社員をまとめ上げて、対顧客、対社員、対社会に貢献していく。こういうことが経営者に求められる基本だと思います」
青年会議所およびBNIの存在意義
青年会議所、通称JCの仲間を「人生の友人」と表現する野並氏は、激動の時代の今、JCの存在意義について次のように述べた。
「JCはどのような社会環境下でも自分たちの地域は自分たちで良くし、仲間としてつながりながら具現化していく組織でありますので、コロナ禍においてはJCが注目されるタイミングであったと感じています。また、JCのメンバーは自分たちの地域に対して熱い思い入れがあります。であるからこそ、自分たちの本業を通じて自分たちの地域を良くしていくために、この先何があろうとも、自らの歩みを止めないことを常に意識しながらやり続ける必要があると思っております」
また、大野はミルトン・オルソンの『渡り鳥のように振る舞う』の話を例にしながら、今年のBNIのテーマ「Better Together」を通じて、全国のチャプターというビジネスチームがどのように考え行動すれば、各地域に貢献できるかを語った。
「中小企業が一社だけで何かをやろうとしても限界があり、『Better Together』のように、まさに人が手を取り合い、企業が協力しあって事を成していくことが非常に大切だと思います。
BNIのチャプターにはリーダーシップチームという役員があり、半年ごとの交代という非常に短いサイクルで行っています。この後朗読いたします『渡り鳥のように振る舞う』をお聞きいただければ、なぜサイクルが短いかご理解いただけると思います。そして、チームはひとりひとりがそれぞれの役割を果たしていくことが大切です。このことは、企業の中でも大切ですし、業界の中でも必要になってくると考えています」
※『渡り鳥のように振る舞う』
https://bnipodcast.jp/895/?fbclid=IwAR0s_G5rC84Jg1CU-4yGr3PAS3tTbJPG2Xa_Z8eLItpEiwl7V-0VWatMVmQ
中小企業がより良い社会を創造していくには
青木氏「380万社の企業の中で99.7%が中小零細企業です。毛細血管のように全国に張り巡らされた中小企業が活性化するには、そこで働く人たちが事業目的に共感して、利己的な心でなく利他の心をもって活動することが大切です。それを志といっても良いでしょう。事業目的における共感を社員とともにしっかりと作り上げていくという『共感資本』を大切にしながら組織運営をしていくことが大切だと思います」
野並氏「過去を繰り返してより良い社会になることが分かっていれば、新しい発想は基本的には必要ないでしょう。ですが、正解もわからない、何をすればより良い社会ができるのかを誰もが知っているわけではないのならば、今この時代に必要なものを生み出す発想力が必要だと思います。また、思うだけでは意味がなく、具体的な行動に移してくことで検証が可能になり、この発想と行動の短いサイクルの中で検証をどんどんやることによって、より良い社会を築いていけると思います」
大野「このテーマにおいて、BNIのコアバリューは意義深いのではないかと思います。利他の精神と同様の『Givers Gain®』、つまり『与える者は与えられる』という理念があります。自分や自社のことだけでなく、周りの人、まずは他者に対して自分が何ができるか、どのような協力ができるかを常に考えることを大切にしていく生き方だと考えています。他のコアバリュー『Building Relationships』『Lifelong Learning』『Traditions+Innovation』も本日のお話にも通じていることであり、どの企業においても必要なことと考えています」
文=国場みの