職人から経営者へ。 疑いから始まったBNIで、信頼も経営も学んだ。

2026/10/13

山本 悠太(やまもと ゆうた)
チャプター:Bridge(大阪シティNorth)
カテゴリー:美装

 山本悠太さん(以下、山本さん)は、ビデオコンテスト2026で、BNIを通じて得た成果や人とのつながり、自身の変化を語り、見事4位に選ばれた。(動画はこちら)

 山本さんの歩みは、決して順風満帆ではない。小学校教員、塾講師を経て、さまざまな仕事を経験した後、清掃業の世界へ入った。独立当初は金銭的にも人間関係的にも苦しい状況が続き、BNIへの加入は、マイナスからの再出発でもあった。

 しかし、BNIでの1to1、トレーニング、リファーラル、そしてメンバーからの率直な言葉が、山本さんを職人から経営者へと変えていく。現在は、清掃業を通じて社会復帰の架け橋となる事業づくりにも挑戦している。

マイナスからのスタート。「見返りを求めず与える」ことを信じられなかった。

 BNI加入前、山本さんは厳しい状況の中にいた。当時は、とにかく仕事が必要だった。安全かどうか、信頼できる相手かどうかを十分に見極める余裕もない。支払いのトラブルや、人間関係の問題に巻き込まれることもあった。そんな中、取引先の一人が、BNI Bridge(大阪シティNorth)のチャプター立ち上げメンバーであり、山本さんはBNIを紹介された。

 最初に衝撃を受けたのは、BNIでは、メンバー同士で紹介を交わす文化があるという点である。それまでの世界では、何かをしてもらえば見返りを求められることが多かった。だからこそ、見返りを求めず紹介が交わされるBNIの文化は、山本さんにとって怪しくも見えた。

「そんなにただで紹介してくれるわけがない」

 そう感じるのも無理はなかった。それでも、実際にやってもいないのに「自分には合わない」と決めつけるのは嫌だった。そこで、山本さんはBNIに飛び込むことを決める。

真剣に話を聞いてくれる。その厳しさに、愛情を感じた。

 山本さんがBNIで最初に心を動かされたのは、1to1の文化だ。自分の事業について、ここまで真剣に聞いてくれる人がいる。そのことに驚いた。表面的な事業内容だけではなく、人間的な部分にも踏み込んでくる。良くも悪くも、自分自身を見られる場だった。

 当時の山本さんは、現場100%で働いていた。そのため、会議や集まりにも参加できないことが続いた。それに対して、メンバーから厳しい指摘を受けることもあった。BNIのメンバーは一人の経営者であり、本来であれば、山本さんの事業にそこまで口を出す必要はない。それでも言ってくれる人がいた。当時は反発することもあった。しかし振り返れば、そこには愛情があったのだと感じている。

 BNIは、ただ仕事を紹介してくれる場ではなかった。山本さんにとって、自分の考え方や姿勢を問い直される場でもあったのだ。

できることを明確に伝える。信頼が紹介につながる。

 BNIで得た成果の中でも、山本さんにとって印象に残っているのが、大手不動産会社の紹介である。紹介を受けた当初は、10万円ほどの案件だった。しかし、その関係は年々深まり、現在では大きな取引へと成長している。2026年3月の繁忙期には、その取引から3,000万円規模の売上が生まれた。

 山本さんは、依頼にはできる限り応える姿勢を示す一方で、自分にできることと、できないことを明確に伝えてきた。通常であれば、「紹介してほしい」と伝えても、簡単に紹介が生まれるわけではない。しかしBNIでは、信頼関係を築き、相手に自分の事業を理解してもらうことで、それが実現する。

 山本さんに、どのような仕事を、どこまで任せられるのか。そうした情報を伝え続けた結果、紹介の質が変わっていったのである。

職人から、社長へ。BNIで学んだのは人間力だった。

 山本さんがBNIで得たものは、売上だけではない。人を信頼し、任せ、育てるという、経営者としての姿勢を学んだ。

 加入当初から、山本さんはメンバーに「社長業をしなければならない」と言われ続けてきた。社長は現場に立つことだけが仕事ではない。そう言われても、当時の山本さんにはすぐに受け入れられなかった。職人である以上、背中で見せるものだと考えていたからだ。

 しかし、BNIのメンバーと1to1を重ねる中で、少しずつ考え方が変わっていく。どうしたら現場から離れられるのか。どうしたら人に任せられるのか。どうしたら育成に時間を使えるのか。言われ続けたことで、山本さんは考え、行動するようになった。

 その考えを変えるきっかけとなったのが、BNIのトレーニングやポッドキャストだった。学びを重ねるほどに、「これができていなかったからだ」と腑に落ちることが多かったと語る。

 BNIで語られている内容は、難しいことではない。相手を知る。信頼関係を築く。先に与える。学び続ける。基本的なことばかりである。しかし、その基本ができていなかったと気づいたとき、BNIの考え方が、山本さんの中に根づいていった。

 「助けてください」と言うことも得意ではなく、何でも自分で解決しようとしていた。しかし、経営者として成長するには、周囲の知恵を取り入れ、学び続ける必要があった。トレーニングや周囲の人の言葉から学び、それを一つずつ実践し、BNIの考え方を自身の経営に取り入れていった。

 結果として、人に任せ、育成に時間を使うことで売上も伸びた。もしBNIに入っていなければ、現場から離れることも、社長業に向き合うこともできていなかったかもしれない。BNIは、山本さんを職人から経営者へと押し上げる場になったのだ。

清掃業で、社会復帰の架け橋をつくりたい。

 山本さんの今後の目標は、清掃業を通じて社会復帰の架け橋をつくることだ。この思いが生まれた背景には、教員としての経験がある。小学校教員や塾講師として、心の問題などから学校に通えない子どもたちとも関わってきた。表に出ている問題だけではなく、その子が抱えている思いや背景に目を向けることが、先生の仕事だと考えていた。

 その経験と、現在の清掃業がつながったのだ。就労支援に関わる経営者と出会い、働きたいのに働けない人が多くいることを知った。一方で、社会全体では人手不足が続いている。

「それをつなげられるのは、自分の仕事ではないか」

山本さんはそう感じた。

 障害や心の不調など、さまざまな事情を抱えた人たちが、気持ちよく働ける場所をつくる。清掃業は、その受け皿になり得る仕事である。山本さんにとって清掃業は、ただ現場をきれいにする仕事ではない。人がもう一度社会とつながるための仕事でもあるのだ。

信念を持つ人に、BNIを最大限に活かしてほしい。

 BNIでは、原則として各専門分野につき1名のみがチャプターに参加できる。そのカテゴリーのエキスパートとして活動するからには、自分の仕事に対する信念や想いが必要だ。カテゴリーを代表する立場やビジネスの機会は、信頼を積み重ねた先についてくる。その前に、自分の仕事を代表するだけの信念があるのかが問われる。

 自分の事業の成長に、BNIをどう活かしたいのか。どれくらい本気で取り組むのか。具体的な目標を持つ人にこそ、BNIは力を発揮する。

 山本さん自身も、マイナスの状態からBNIに入り、目の前の現場に立ち続ける職人から、人に任せ、育て、事業を広げる経営者へと変わっていった。

BNIは、ただ紹介を受ける場所ではない。自分の仕事に本気で向き合う人が、信頼関係の中で鍛えられ、経営者として成長していく場所である。そのことを、山本さんの歩みが示している。

文=名城政也