高野 了輔さん
BNI ETOILE
BNI 東京N.E.
カテゴリー:畑から届ける日本茶ソムリエ
フランス紅茶商社を経て、2021年に日本茶・紅茶専門店【高野茶園】を創業。「畑から届ける」をモットーに農家に足繁く通い、レストランに食事とお茶のペアリングを提案するほか、流通量が極めて少ないオーガニック茶や全国の珍しい品種を取り扱う小売店「高野茶園」を運営。 お茶本来の香り・旨みを伝えるだけではなく、淹れ方、温度、蒸らし時間などを徹底的に伝え、お茶のポテンシャルを引き出すことで食事とのペアリングに特化している。
お茶への想いを語った動画がグランプリ
2023年のBNIビデオコンテストSNS部門1位、ウェブサイト部門3位を受賞したのは、動画の中で日本茶への熱い想いを語る高野了輔(たかの りょうすけ)さん。
- 1位SNS部門(30秒)
https://www.youtube.com/watch?v=eeY7wGvNVJU - 3位WEB部門(2分)
https://www.youtube.com/watch?v=im_PbuCOGoU
撮影場所は、実際に高野さんが提携している日本茶生産者の茶畑の中。雪降る日に茶葉に積もる雪をそっと払い、優しく茶葉を触るその手からお茶への愛が伝わってくるようだ。
創業とほぼ同時に、兄の高野智有(たかの ともなり)さんが立ち上げに参画したチャプター・BNI ETOILEに加入した。高野さんの「お茶」への想いは学生時代まで遡る。
美味しいお茶が外で飲めない
「家で美味しいお茶はいくらでも飲めるのに、外に出たら飲めない」
これは高野さんが学生時代に感じていたフラストレーションだ。
高野さんの実家には日本茶を飲む習慣がある。
そんな中で育った高野さんが学生になり、友人や先輩と外食するようになって驚いたのは、美味しい料理やお酒はたくさんあるのに、美味しいお茶が飲めないということ。
料理とお酒の相性に気を使う飲食店は数多あれど、ノンアルとなると「本当に食事と合うのだろうか?」と首をかしげてしまう。
周囲は料理もお酒も楽しんでいるのに、お酒をあまり飲めない自分は片方しか味わえず物足りない。
相手とのせっかくの時間なのに、美味しくもないソフトドリンクにお金を使うくらいなら「早く家に帰って、お茶しよう」と頭によぎることが多々あったという。
しかし当時の高野さんには「起業」という発想はなく、フランス紅茶の商社に就職をした。
お茶をたしなむ文化を再構築したい
高野さんは、持ち前の探究心を発揮して業務の範囲を超えて紅茶を独学で学び始めた。
例えば、紅茶のコンテストに参画したり、全国の紅茶生産者に直接連絡を取り、現地視察を行ない栽培から生産の哲学まで学んだり、といった具合だ。
そうこうしているうちに、ご縁でオーダースーツ会社に勤めることになり、高野さん独自のおもてなしとして、お客様に一杯のお茶を淹れると、「美味しい。これはなんだ?」とびっくりされる。
「安い粉茶ではなく、選りすぐりのお茶ですから当然、美味しいわけですよ」と高野さん。
あるとき、兄の智有さんのつながりで知り合ったBNIメンバーに「これ、売らないんですか? 売れると思いますよ」と提案された。
加えて、「やるなら産地に行かないんですか? そのほうが“らしさ”が出ますよ」とアドバイスをもらった。
幼少期から親しんできたお茶、学生時代に感じた外食への課題、商社時代の茶農家とのつながり、おもてなしの一杯、今までの経験が1本の線につながる瞬間だったのかもしれない。
お茶をたしなむ文化をもう一度。
新しいカタチで。
そして、高野さんは国内紅茶コンテストを通して出会った茶農家に連絡を入れた。
「弟子入りさせてください」と。
料理とのペアリングで誰もが「会食」を楽しめるように
お茶の名産地である福岡県、静岡県の無農薬栽培の茶農家に住み込みで働いて経験値を積み、起業、そして2021年6月30日にBNIに加入。
走りながら事業もBNIも前に進めてきた。
現在、飲食店に「食事とお茶のペアリング」を提案し、月替りのコースに合わせて数種類のお茶を厳選しているが、導入店舗でドリンクオーダーに変化が起きているという。
例えば20席ある場合、元々ノンアルを選ぶ人は2~3人だったのが、お茶のペアリング導入後、8~9人がお茶のペアリングに流れるそうだ。
新たな選択肢が増えたことで、お酒を飲む人も飲まない人も一緒に「料理+飲み物=食事」を楽しめるのだ。
写真=Tea Drop Time
BNIの仕組みを能動的に使いこなす
今年、2023年は「いろいろな意味で大きな変化の年」という。
ティーペアリングサービスを開始。
その流れを受けて、BNIで知り合った会員制の高級料理店とのコラボでクラウドファンディングに挑戦、865%のサクセスを達成。約8割の支援者が“はじめまして“の人たちだ。
また、高野さんと同日にチャプターに加入した女性と結婚、ふたりで創りあげる新しい人生を歩みはじめた。
振り返ると商社を辞めてからの5年間で「今が一番楽しい」と笑顔で語る。
様々な縁が重なり、そこに高野さんの積み重ねが合わさり、大きな変化を遂げることができたのだろう。
そんな高野さんにBNIの上手な使い方について尋ねてみた。
「能動的に行動することですね。紹介を待つだけでなく、自分から『1to1してください』と行動を起こすことが大事だと思います。それが成果につながると私は実感しています」
文=国場みの 写真=宮坂拓海