地域の活動から全国の舞台へ──BNIが後押しした挑戦

2025/12/16

加藤 はと子さん
BNI 東京BC
カテゴリー:地方創生マーケティング

商店街の一角から始まった取り組みが、数万人規模のイベントへと成長し、やがて10万人の街に10万人を集客する一大イベントへ。その実績は国の目に留まり、現在は国土交通省や総務省と連携して全国の地方創生の現場を支える専門家として活躍する加藤はと子さん。数々の実績を重ねてきた彼女にとっても、BNIとの出会いは事業と組織を新たな段階へと進める大きな転機となった。

専業主婦から始まった挑戦

加藤さんが行動を起こすきっかけは、母親の早すぎる死だった。

「このまま家族のためだけに生きて、一生を終えてしまうのか……」

その思いから、専業主婦だった彼女は子ども服づくりを始める。オークション出品から始まった小さな一歩は、ブランド立ち上げ、百貨店とのタイアップへと広がっていった。

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転機は、商店街に店を持ったことだった。地元商店街の活性化イベントの実行委員長を任された加藤さんは、当初数千人規模だったイベントを毎回1万人超の規模へと成長させる。最大10万人を集めた回もあり、メディアの注目を集め、省庁からの表彰を受け、16億円の経済効果をもたらした。

この実績が認められ、道の駅の運営に参画。さらに業界全体の課題解決に向けて、国土交通省の協力のもと全国「道の駅」女性駅長会を立ち上げ、会長に就任。2024年からは総務省の地域力創造アドバイザーとして公共施設分野の専門家に登録され、全国の地方創生を支える存在となっている。

「毎週、事業を見つめる時間」を求めて

そんな加藤さんがBNIに出会ったのは2021年。入会の理由は明快だった。

「毎週の定例会があれば、自分の事業を考える時間を持てる。それが魅力でした」

日々、目の前の仕事に追われる中で、立ち止まって自分のビジネスを俯瞰する時間を持つことは難しい。BNIの仕組みは、そんな経営者に「考える時間」を強制的に与えてくれる存在だった。

1 to 1が教えてくれた「自分の価値」

BNIで特に大きな意味を持ったのが「1 to 1」だった。

あるメンバーとの対話で、加藤さんは自分の経験を何気なく話していた。商店街のイベント運営のこと、道の駅での取り組み、省庁とのやりとり……。すると相手は驚いた表情でこう言った。

「それ、すごいことですよ。普通の人にはできない専門性です」

加藤さんにとっては「当たり前」だと思っていた経験や人脈が、実は高度な専門性であり、希少な強みであることが明らかになった瞬間だった。異業種が集うBNIだからこそ得られる、多角的な視点での気づきだった。

「自分では気づかなかった価値を、仲間が教えてくれたんです」

相談から始まった、自治体との仕事

この気づきは、その後の行動を大きく変えた。

メンバーから地域活性化について相談を受けると、加藤さんは惜しみなく情報を提供した。改善の方向性、使える制度の仕組み、具体的な進め方……。すると、こんな展開が生まれた。

「一度、うちの町議と会ってもらえませんか?」

町議との面談では、担当課への説明を依頼される。そこから町長面談へとつながり、やがて正式な案件として発展していった。

「最初は紹介につながるなんて思っていませんでした。でも、相談に応じているうちに自然と広がっていったんです」

BNIで培った「まず与える」姿勢と、1 to 1での学びが、地方自治体との信頼関係を築く原動力となった。

このスタイルを積み重ねた結果、案件は全国へと広がり、売上は2年で4倍に成長。現在では売上の約40%がBNI経由であり、県外案件比率は8割に達している。

チャプター立ち上げと自社への相乗効果

加藤さんは、新リージョン「BNI東京BC」の立ち上げにあたり、ディレクターとして新チャプターの創設と増員に携わった。リージョン全体の基盤づくりの一環として、メンバーを集め、チャプターの文化を形にしていく役割を担ったのである。

「立ち上げは、仲間のビジネスを理解し合いながら、互いに成果を出せる仕組みをどう築くかを考える時間でした」

その過程で、36名だったチャプターを72名へと倍増させることに成功した。メンバー数の増加は単なる数字の拡大ではなく、チャプターメンバーが地域で果たす影響力を大きく広げるものとなった。既存メンバーにとっても、多様な専門性を持つ仲間が加わることでリファーラルの機会が増え、相乗効果が生まれていった。

立ち上げ活動は、短期間に多くの調整や準備を要する大きな挑戦のプロセスであったが、加藤さんはこの立ち上げ期に会社の収益も大きく伸ばしている。

「これこそ、Givers Gain®️としか言いようがない」と語る加藤さんのGivers Gain®️を体現する姿がメンバーの信頼を生み、チャプターの活性化へとつながった。

さらにこの経験は、自社の組織運営にも波及した。加藤さんは社員にもBNIに参加してもらい、共通言語を持つことで社内の相互理解が進んだという。会議やプロジェクトの進行も格段にスムーズになり、BNIで得た仕組みと在り方は、事業の拡大だけでなく組織の成熟にもつながっている。

チャプター立ち上げはBNIへの貢献にとどまらず、加藤さん自身が経営者として次のステージへ進むための大きな糧となった。

BNIの学びを組織の成長へ

加藤さんが今、強く意識しているのは「組織の成熟」である。

「まだ売上の大部分を私が担っています。今後は仕組み化や次世代育成に取り組み、組織として持続可能な成長を実現したいです」

目指すのは、人に頼らず仕組みで回る組織だ。業務を標準化し、チームの誰もが同じ品質で成果を出せるようにする。そして若手や後進の人材育成にも注力し、地方創生の現場で活躍できる次世代を育てていこうとしている。

「人のせいにせず、仕組みで解決する」──この言葉には、BNIで培った組織づくりの哲学が色濃く反映されている。加藤さんの活動はBNIで得た学びを土台に、「一人の専門家の挑戦」から「仲間とともに育つ組織の挑戦」へと進化しようとしている。

文=国場みの