心を届ける一杯が、縁をつなぐ──日本茶と畳が紡いだリファーラルの物語

2025/07/08

奥村 郁子さん
BNI GT(奈良市京都南)
カテゴリー:日本茶販売

ある日、百貨店の催事場で、丁寧に日本茶を淹れる女性の姿が来場者の目を引いていた。隣には、新作の畳を並べる男性。二人は異なる業種ながら、同じ「日本の文化を伝える」という志を持つBNIの仲間だった。

『BNIジャパンビデオコンテスト2025』で3位を受賞した動画(受賞動画はこちら)には、その二人──奥村郁子さんと衣川裕一さん──が交わした、心と心を通わせたリファーラルの物語が描かれていた。この記事では、その舞台裏に迫る。

通販事業の社長に、ビジネス仲間ができた日

奥村さんは、京都で100年以上続く日本茶の会社を継ぐ4代目社長である。主に通信販売を中心に事業を展開しており、経営者として日々多忙を極めていたが、「同じ目線でビジネスの話ができる相手がいない」という悩みを抱えていた。

BNIへの加入を初めて意識したのは、2019年のこと。弁護士をしているご主人から、「経営者になるなら、BNIのような組織に入った方がいい」と勧められたことがきっかけだった。しかしそのときはご縁がまとまらず、加入は見送ることとなった。

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再度BNIとつながる機会が訪れたのは2021年。奈良と京都南エリアで新たにリージョンが立ち上がるタイミングでチャプター説明会に誘われた。そこで登壇していたのが、現在の吉田淳一エグゼクティブディレクター(以下、ED)である。

「この人の話をもっと聞いてみたい」──

吉田EDの情熱と人柄、そしてBNIの可能性に心を動かされ、奥村さんはBNI GTへの加入を決意した。

チャプター設立期、仲間とともに走った日々

奥村さんが感じていた「孤独」は、チャプター設立期の活動を通して大きく変わっていく。立ち上げ段階から、異業種の仲間たちとビジネスについて真剣に語り合い、相談できる関係が自然と築かれていった。

それまで関わることのなかった分野の人々と出会い、互いの経験や視点を共有することは、奥村さんにとって新鮮であり、刺激に満ちていた。無事にチャプターが発足し、本格的な活動が始まる頃には、奥村さんの中に「ここでなら、真剣に商売の話ができる」という確信が芽生えていた。

与える想いが、巡り巡って返ってくる

BNIメンバーになって2年が過ぎた頃、奥村さんはあるランチ会で畳の製造販売を行う衣川さんと出会った。日本文化を継承する者同士として、自然と意気投合した二人。話をする中で、衣川さんが経営上の悩みを抱えていると知り、奥村さんは「何かできることはないか」と心を寄せた。

定期的に開催されるランチ会で顔を合わせるうちに、衣川さんの状況が徐々に好転していく様子を見て、奥村さんは心から喜んだ。そして2024年、チャプターでビジネスオープンデイ(※)が開催されることになった際、「BNIはきっと衣川さんの助けになる」と直感し、参加を打診した。

「参加してみたいです」

衣川さんは快く応じ、後日、正式にBNI GTの新メンバーとして迎え入れられた。

※ビジネスオープンデイ:多くのビジターを招待し、BNIの活動を体験してもらう特別イベント。

共鳴が生んだ催事での共演

間もなくして、衣川さんから奥村さんに1本の連絡が入った。

「7月に百貨店で催事を行うのですが、畳の新作を販売するブースで、お客様にお茶を淹れていただけませんか?」

日程の都合も合い、奥村さんは快く承諾した。すると衣川さんは「せっかくなら」と百貨店に掛け合い、奥村さんが同じブースでお茶を販売できるよう交渉してくれたのだった。

『販売だけではもったいない』と意見が一致し、美味しいお茶の淹れ方を紹介するワークショップの開催も急遽決定した。

催事当日は、吉田EDが自らカメラを構え撮影を担当。多忙を極める中、ディレクターが編集を引き受け、短期間で心温まる動画が完成した。そして、その動画こそが『BNIジャパンビデオコンテスト2025』で3位に輝いた作品である。

奥村さんは、催事での一幕をこう語る。

「場所が神戸のポートアイランドで、外国人の方も多く住まれているんですね。催事に来られたお客様が“日本で抹茶を仕入れて、自国で販売している”と話されていて、新しいお茶の銘柄を探していたそうなんです。それでお声をかけていただいたんですが、契約には至らなかったものの、とても良いチャンスをいただけたと感じています」

BNIは、仲間と学びを得られる場

奥村さんに、BNIの魅力を改めて尋ねてみた。

「通信販売なので、普段は人に出会う機会がほとんどなかったんです。だから、BNIに入って“自分は何も知らないまま商売をしていたな”って気づきました。こんな職業があるんだとか、社会の仕組みってこうなっていたんだとか、発見の連続です。メンバーと仕事の話ができて、共通の悩みを共有できたり、他の人のやり方を知れたり。BNIをやめてしまったら、何をどう学べばいいかわからない。それくらい、学びがあり、メンタルの支えにもなっています。そして、何より仲間が増える。それが一番の魅力ですね」

最後に、これからの展望についても語ってくれた。

「チャプターでイベントができたら素敵ですね。みんなの得意分野を発信できる展示会とか、催事とか。そんな場をつくってみたいと思っています」

文=国場みの