地域の性格を醸成するのは大人。大人が変われば子どもも変わる

2024/02/20

藤田 奈津子さん
BNI ポラリス(東京千代田)
カテゴリー:NPO法人、子ども支援 PR / コミュニケーター

出産と東日本大震災を機に、ボランティアやさまざまな地域のコミュニティ活動に関わるようになる。2019年に会社員時代からボランティアで関わっていたPIECESに本格的に参画し、フリーランスとして複数の企業・団体のPRコミュニケーションに携わる。

子どもが孤立しない地域をつくる活動

2023年の『BNIコネクトプロフィールコンテスト2023』において、ビジョン賞を受賞した藤田奈津子さんを紹介する。

藤田さんは認定NPO法人PIECES(以下、PIECES)の広報・ファンドレイズ担当として活動しながら、BNIポラリスに2021年3月に加入した。

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PIECESでは、子どもの貧困、虐待、不登校などの問題の背景に存在する「子どもの孤立」の解消に取り組んでいる。

主な活動としては、子どもたちと関わる信頼できる大人を増やす「Citizenship for Children」プログラムの提供をはじめ、地域活動・子ども支援に関わる人たち向けの講演やワークショップなどが挙げられる。

このようにPIECESは、子どもへの直接的な支援というより、子どもが孤立しない地域づくりを目指す市民を増やす活動をしている。

実体験を通じて子ども支援の活動に情熱を傾ける

関西出身の藤田さんは転勤で知り合いがいない東京に夫婦で移り、その後、出産。

子どもの頃、親戚との行き来も多く大家族のような環境で育ったが、いざ自分が親になると頼れる人が周囲にいない環境に置かれてしまった。

仕事だけを考えるなら会社内の関わりは重要だが、地域はさほど重要ではない。

しかし子育ては地域や、子育てに関して同じ価値観の人たちとつながっていかないと、親子ともに孤立してしまう。子育てには地域との関わりが必要なことを痛感したという。

そのような中、東日本大震災をきっかけにオンラインでできるボランティアとして、子育てコミュニティの事務局を始め、以後、様々な活動に参加するようになり、児童精神科医でPIECES代表の小澤さんと出会う。

PIECESの目指す世界や活動に共感し、ボランティアとして参加していたが、本腰を入れたいと思い仕事を辞め、スタッフになった。

信頼できる大人との関わりの希薄化

現在日本では、子どもが「誰も自分の本当の気持ちに向き合おうとしてくれない」「どうせ大人なんて信用できない」と思って、心を閉ざしてしまう環境になってしまっている。

これはPIECESに出会った子どもたちから口々に語られた言葉で、こうした子どもたちは一見、普通に生活しているように見えるが、実は周囲から孤立しているそうなのだ。

児童相談所や子ども相談窓口など子どもの支援体制は整っているはずだが、実態はそう簡単ではない。

藤田さんはその理由を次のように解説する。

「子ども自身は、支援機関があるのを知っていても利用したいと思うことは難しいのかもしれません。大人もそうだと思いますが、『あなたは支援される人ですよ。だから支援されに行きなさい』みたいな感じで言われても、自分は違うと思いたいという気持ちがあると思います。

また、助けを求めるというのは、BNIのように信頼関係のベースがあって初めてできる行為であり、信頼関係がない中で助けを求めることは難しいのです。

例えば、幼少期からネグレクトや暴力を受けて育った子どもは、しんどい・辛いと思ってもこれが日常であると捉えてしまうし、相談したくても相談したい相手が思い浮かばず、結局できないのです」

自分を大切にできないと人への信頼感が生まれにくい

以下のように、大人も子どもも孤立のループに陥ってしまう可能性があるそうだ。

「①人から大切にされる経験に欠ける」
  ↓
「②自分を大切にできない」
  ↓
「③人からの助けを受けられない」
  ↓
「④人への信頼感がなくなる」
  ↓
「⑤孤立する」
  ↓
①から⑤をループしてしまう。

特に子どもたちは、信頼できる他者との関わりを自分でつくることは難しい。

幼い頃から大切にされる経験が少なければ、自分を大切な存在とは思えず、手を差し伸べられても「大切に扱われる存在じゃないから」と、受けとることは難しいのだ。

そして、困難な状況を仕方ないと思いつつも周囲への信頼感がさらになくなり、孤立していく……。

大人がまちの雰囲気をつくっている。変えていけるのは私たち大人

この状況に私たち大人は何ができるのだろうか?

日常で何を変えていけばいいのだろう?

今からできることを知りたくて質問すると、丁寧に答えてくれた。

「例えば東京は人口密度が高く、知らない人に囲まれているので、私たちは『私の存在を認識している人がいない』と思って過ごしていると思います。

誰も自分を認識していないと思うからスマホばかり見て歩いて、子どもやベビーカーが近くにいても目に入らなかったりするのかもしれません。

でも、知り合いや顧客などがいる場所で同じ行動をするでしょうか?

子どもは自分にされた行為だけではなく、そのまちで起きている振る舞いみたいなものに影響を受けます。

他の子どもが受けた行為を見て、そこにも影響を受けています。

まずは『まちの雰囲気をつくっているのは大人だ』という認識をすることだと思います。

だから、地域やまちをつくっている『市民』という自覚のある大人が増えれば、社会が変わっていくと信じています」

文=国場みの