プリマドンナ症候群

2024/05/21

プリマドンナ症候群とは、仕事や私生活において過度にエゴが強く、傲慢で自己中心的な態度を示す人を表現するのに用いられる言葉です。この症候群は、職業や地位に関係なくどんな階層の人にもみられますが、ある程度の成功や名声を手にした(あるいは手に入れたと「思っている」)人たちによくみられます。

私は最初、仕事で密接に関わった二人の人物にこの傾向を認識しました。彼らは特に顕著な成功や名声を得てはいなかったものの、少しずつ成功し始めたところで、いわゆるプリマドンナ症候群にまっすぐに陥ってしまいました。

一人の男性は、企業内でトレーナーとして勤務していた人îでした。彼は優れたトレーナーで人を楽しませることができる人物ではありましたが、問題は彼の担当地区が悲惨な状況だったことです。彼はプリマドンナのように振る舞っていましたが、その地区の成績については全く結果を出せていませんでした。そのような状況にもかかわらず、彼は社内で最も優秀であるかのような態度を取っていたのです。二人目は、以前出版した本の共著者でした。彼女の名前が本に載るや否や、まるで生まれもっての女王様かと思うほどの態度をとるようになったのです。彼女はすっかりプリマドンナ症候群にはまりこみ、周りの誰に対しても傲慢に振る舞っていました。

人がこうした特徴を示すときは、個人的にも仕事の上でも前向きに人間関係を構築し維持することは難しいかもしれません。常に注目や承認を求める上に、他人に共感することができないことにより、疎外感や孤独感を生むことになります。

プリマドンナ症候群は、自信過剰であったり、地位に対する執着を見せたり、特別扱いされることを期待する特徴があります。この症候群の人は、自分が業界内でもっとも才能があり、知識が豊富で努力家であると信じているのです。彼らは自分の成果を認めてもらうことを強く望み、自分の要求や願望に対して周囲の人が応じることを期待しています。

残念ながら、プリマドンナ症候群は明らかにその人のキャリアや私生活に計り知れないほどの影響を及ぼしかねません。プリマドンナは、大抵要求が多く、特別扱いを求める振舞いが原因で、仲間やクライアントが遠ざかっていきます。自分たちだけが成功を収められると信じ込み、他の人と協力することを拒絶することもあります。自分たちが当然受けるべきだと考える評価が得られないと、憤慨したり敵対心を持つこともあります。

プリマドンナ症候群のもっとも注意が必要な側面の一つとして、自分自身でそれに気付くことが非常に難しいということがあります。この症候群の多くの人は、自分自身は単に野心的で意欲的であるだけで、傲慢であったり、尊大であるとは思っていません。結果として、フィードバックや批判に対して抵抗感を示し、他の人と有意義な関係構築に苦労するのかもしれません。

プリマドンナの特徴

この行動について私が観察した特徴のいくつかをご紹介しましょう。

  1. コントロールしたい: プリマドンナ症候群の人は、往々にして状況や周囲の人をコントロールしたいという強い願望があります。物事が思うように進まない時は苛立ち、怒り、また他の人をコントロールするためにごまかしやいじめ、あるいは他の策略を駆使することもあります。
  2. 権利意識がある: プリマドンナの人は、多くの場合、他の人にはない特権を持ち、存在を周囲から認められていて、特別扱いを受ける権利があると信じています。多くの人に適用されるルールの制約を受けず、自分の立場や地位によって特別待遇を受けるに値すると感じているかもしれません。
  3. 共感力の欠如: プリマドンナの人は、他の人に対し共感することができず、周囲の人の意見や気持ちを軽視することがあります。他人の視点を理解し尊重したりする能力に欠けることがあり、人に対して冷淡、よそよそしい、思いやりがないなどの印象を与えることがよくあります。
  4. フィードバックを受容できない: プリマドンナ症候群の人は、フィードバックや批判を受け取ると、自分を防御しようとしたり、怒りを覚えたりすることがあります。改善するための提案であってもそれを個人攻撃と捉え、自分の欠点を認めたり、対処することを嫌がることがあります。
  5. 注目されたい: プリマドンナの人は、人から注目されたいと思っており、自分に関心が集まるような行動を取ることがあります。注目の的になりたがり、自分の存在を認められ、自分は重要な存在であると感じたいがために人の気を引くような行動を取ります。これは、先述の共著者も同様でした。
  6. チームプレーが不得意: プリマドンナ症候群の人は、他の人と協力したり、一緒に仕事をすることを嫌がることがあります。他の人による貢献を過少評価したり、無視することもあり、一定の分野や職務に関して自分自身を唯一の権威であるように考えているかもしれません。
  7. プリマドンナ症候群のもう一つの特徴は、単純作業や責任の軽い業務は、自分たちの仕事ではないと考える傾向にあることです。そのような役割は自分たちがやるに値せず、「重要な」仕事のみに注力すべきと考えているかもしれません。しかしこれによって、仲間から怠惰であり尊大と見られる可能性があります。

総じて、プリマドンナ症候群の人は彼らと効果的に仕事をしたり、交流することが難しくなるような、周囲が理解に苦しむ行動を示すことがあります。こうした彼らの特徴を認識し、周囲の人に及ぼす影響をコントロールしつつ、軽減するための戦略を練ることが重要です。

役立つ戦略

プリマドンナ症候群の人との付き合いは努力を必要としますが、そのために役立つと思われる戦略を挙げておきます:

1.明確な境界線を設ける:
プリマドンナの行動を示す人に対しては、明確な境界線を設けることが重要です。一緒に働く際、あなたが相手に求めることを定め、あなたの仕事の進め方や期待する内容を明確に伝えましょう。もし、相手がこれらの境界線を越えるようであれば、それに対して行動する準備をしておきましょう。

2.冷静でプロの態度を保つ:
プリマドンナの人と付き合う際は、彼らが敵対的であったり強情であったりしても、冷静かつプロフェッショナルな態度を保つことが重要です。議論や感情的な反応に巻き込まれないようにしましょう。もし巻き込まれてしまうと、状況を悪化させ解決が難しくなる可能性があります。

3.事実と解決策を重視する:
プリマドンナの傾向がある人とやり取りする時は、感情面ではなく事実と解決策を重視するよう心掛けましょう。明確で具体的なフィードバックを行い、改善や譲歩のための提案をしましょう。

4.手助けを求める:
プリマドンナ症候群の人との付き合いは、ストレスが多く難しいと感じるものです。同僚や友人、あるいはメンタルヘルスの専門家などの手助けを求めることも考えてみましょう。別の誰かとあなたの経験したことや気持ちについて語り合うことは、あなたの判断力を保ち効果的なストレス対処法を考えるために役立つはずです。

5.関係遮断を考える:
プリマドンナ症候群の人からの協力をずっと得られず、仕事を共にする上で悪影響を及ぼすようであれば、関係を断つことが必要かもしれません。その人の振舞いが、あなたや周りの人の幸せな生活に悪影響が及ぼされると感じるのであれば、それはその人との関係を終わらせ、他の仕事を探したり、別の人と付き合うことを検討する時かもしれません。

この症候群の人の振舞いは、モラルの低下、離職率の上昇、同僚やクライアントとのぎくしゃくとした関係につながる可能性があります。早い段階でこの点に気付き、より迅速に対処することで、組織はより強固になるでしょう。

ビジネスネットワーキングの組織やBNIのチャプターにも、時々プリマドンナ症候群の人がいます。この症候群の人や、また違った背景を持つ人たちとどのように仕事を共にするのか、今挙げた助言を実行されることをお勧めします。

私の好きな格言のひとつに、謙虚な人は自分を小さく見ているわけではない、ただ自分のことを控えめに考えているだけだというのがあります。プリマドンナ症候群の人は、自分のことばかり考える傾向にあります。ここでお話したことが、このような振舞いをする人がいるということを理解し、そうした人たちとうまく付き合うための一助となればと思います。

訳=川崎あゆみ