SDGsへの取り組みは、我々経営者にとって一つの課題である。しかし、ただSDGs17のゴールに関連する取り組みを行っているだけで、本当の意味でSDGsに貢献していると言えるのだろうか。
そこで今回は、8月18日ビジネスブースタープログラムで行われた「SDGsの先にあるビジョンとは」の内容を紹介していこう。
今回SDGsについて語ってくださったのは、公益社団法人日本青年会議所 社会グループビジョナリーシティ会議 議長を務める花田 将司(はなだ・まさし)さん(以下:花田さん)。花田さんは現在いなほ化工株式会社の代表取締役社長を務めながら、公益社団法人日本青年会議所 社会グループビジョナリーシティ会議 議長の要職も務められている。
いなほ化工株式会社では、農業資材などの開発を行っており、農業と関わる観点からも、花田さんはSDGsと切っては切れない関係と言え、実際にSDGsを意識した取り組みも行っている。
SDGsへの取り組みアンケート
ビジネスブースタープログラムの冒頭では、SDGsへの取り組みとして、以下のような質問が行われた。その結果が、以下のとおりである。
l 自分のビジネスにおいてSDGsを活用している
はい:30%
いいえ:35%
どちらとも言えない:35%
l SDGsの「18番目のゴール」を意識したことがある
はい:28%
いいえ:72%
アンケート結果は、比較的少ない数字だと言える。この結果を見た上で、花田さんは「SDGsを共に考える時間にしよう」と講演をスタートした。
SDGsはゴールではない
花田さんは、SDGsへの取り組みは「ゴールではない」として、企業の在り方を解説した。会社や役職など「あなたの今いるポジションは、未来から借りている」という考えを示したのだ。そのなかで「いかにより良い状態で未来にお返しするか」が重要だと語る。
そのために考えるべきなのが、会社のブランドだ。企業を経営するにあたり、SDGsを皮切りに、どのように事業をブランド化していくかが大事になるのだ。つまり、SDGsというゴールを目指すのではなく、SDGsは企業をより良くするための一つの切り口と言える。
では、実際に花田さんがSDGsをどのように考えているかというと、以下の図のようになる。
SDGsはあくまで通過点であり、その先の社会をどのようにするかというビジョンが重要になる。ビジョンを一つひとつ展開していくなかで、SDGsは通過点であって、チェック機能なのだ。

バックキャスティングの考え方
花田さんは、人が行動を起こす原理原則として「How(欲求)」「What(ニーズ)」ではなく「Why(心)」が大事だと語った。これはSDGsにも同じことが言える。HowやWhatだけが先行してしまうと「何をやる」ばかりが先行してしまい、根本がズレてしまうのだ。
そして、花田さんは青年会議所の活動である年間ストーリーの組み立てのなかで、バックキャスティングについて解説した。
フォアキャスティングとバックキャスティングの違いについては、以下の図のとおりである。


SDGsについても、同じような考えが当てはまるのだ。現状の積み上げ方式でSDGsに取り組んでいても、一向にたどり着くことはない。SDGsの最終形のイメージをもたなければ、本当の意味でのSDGsのゴールには、たどり着けないのだ。
ビジョンの大事さ・考え方
花田さんはSDGsを解説する上で、ビジョンの考え方、なぜビジョンを大事にしているかについて、これまでの人生を振り返りながら語った。
花田さんが、高岡青年会議所の理事長に就任したのは2020年。同時期に自社の舵取りも任せられることになった。「理事長としての指針を示さなければいけない」「経営者として会社をどうしていくのかを問われる」という時期に、ビジョンについて深く考えなければいけなかったのだ。さらに2020年はコロナ禍であったため、当時描いていたビジョンが覆されてしまい、急遽ビジョンを見直さなければならなかった。
青年会議所はもちろん、自社においても、1人の人間として、人生のビジョンと向き合う年となったのだ。
では、ビジョンとは果たしてどのようなものなのか?花田さんは「成し遂げたい未来の姿」だと語った。しかし、あくまで夢や願望のようなものではなく、実現すべきものなのである。
そして、実現するために、ビジョンが必要なのだ。たとえば、経営理念や価値観、判断基準が同じであっても、ゴールがバラバラの方向を向いていては意味がない。
花田さんが目指しているのは、一人ひとりの速度は違っていても、判断基準、価値観が同じでゴールも同じ方向であることが大事だと言う。この「ゴール」がいわばビジョンになるのだ。
世の中の共感を得て世の中をより良くするゴールへ向かう
花田さんが言うには、世の中や家庭、会社を良くするときも「共感」が大事だと言う。「あの人と一緒にいたい」「あの人と一緒にやりたい」という気持ちが大事なのだ。そして、その共感を生むために「なぜ=WHY」を見つけていかなければならない。
共感を生むためにすべきこととして、以下の3つを紹介した。
l 責任者は視座を高く……主観的・客観的・俯瞰的
l PRの本質……世の中との接着点をどこか探す
l リーダーの役割……選択を融合し、より良い答えを導き出す・階段の降り方を知っている人
「私たちがみんなを巻き込んで、みんなが『いいね』というようなビジョンを掲げ、そこに向かってやるべきで、やりたくなる事業を起こす。その結果として、世の中が良くなっていく。」
SDGsをテーマではあるが、そもそも事業というもの自体が、世の中をより良くすることがゴールなのである。「世の中をより良くする」この想いがあれば、必然的にSDGsに取り組むことができるのではないだろうか。
文=名城政也